綴るだけ

四半世紀の怠惰

食い意地

 今日もなにも食べたくない。食欲は無尽蔵にあるというのに、冷蔵庫が、台所が、流しが、コンロが、汚くて汚くて、それを見ると食べる気が失せる。体重が増えているからちょうどいいね。

 外でならいくらでも食べられる。どんなところで作られているか想像できないから、なにも考えずに食べられる。古くて汚いお店じゃなければ。
 古いものは嫌い。大抵が汚いから。
 だから引越しは好き。歴史を帳消しにできるから。
 賞味期限や消費期限を切らしたものを平気で売っていた近所の古いお店が潰れた。ここに引っ越してきてから二軒目。家族の利用する汚いお店が潰れると、私はそれまでよりも少しだけ安心して冷蔵庫を開けられる。

 自分で料理を作らないのが悪い?自分で台所を掃除しないのが悪い?
 だって元から汚いものをいくら綺麗にしたところで汚らわしさは変わらないでしょ。食器用のスポンジからフライパンまで全部自分用を用意するのは無理がある。だから私はコンビニの統制された菓子パンで生きていきたい。金銭的に無理があるけれど、もしこのまま実家暮らしが続くのならそれをしないと生きていけない。

 パッケージで護られた人工的な食べ物だけを愛したい。
 もう少し贅沢なものを望むなら、私のために作られた料理を食べて生きていきたい。