大切にされていない

　なんでACになったのかわからない。わかるけど。

　生まれつき不幸だと思いこむ体質だったのではないか、と考えて私は首を横に振る。自分のことを不幸だと思わないし、鈍いだけで、恵まれていると思いこんでいるだけで、知らない人に話せばそれなりにネタになるような家庭環境らしいし。

　片親もしくは海外赴任が当たり前なんていう二次元のお決まりに浸かっているわけではなくてもまともじゃない環境で育った常人でないキャラクターが当たり前のように身近にいて、……というかリアルで一番近い人がそんなのよりインパクトある育ちをしている。から、自分のことを恵まれていると思っている。

　無駄遣いばかりしている。そのことが苦しい、そして巻き返せない。稼げない。どうしたら昼に起きて夜早く寝るように努力してる病弱人間が体を動かさずに仕事できるだろう。不条理なことはしたくない。

　買い食いをやめられても食べたいメニューがあればそちらを選んでしまう。誘われるとそれが人生の分岐点でそちらがベターな選択肢だと思って乗っかってしまう。起きるか寝るか、作業するか怠けるか、そんな二択は悩んでいるうちにチャンスが過ぎ去ってしまうのに。

　どこかの監督が好きだ。私の脳内には毎日二択の標識が掲げられる。